2017年8月5日

「日本初の民間ロケット打ち上げ」の記事から見る、ニュースを読むときの注意点

2017年7月30日に、日本初の民間ロケットが北海道大樹町で打ち上げられました。
※この画像は「MOMO」ロケットでは無く、Pixabayから引用したイメージです
残念ながら、不具合発生との判断からエンジンを緊急停止させ、目標としていた宇宙空間 (高度100km以上) には到達しませんでしたが、各新聞社の記事が興味深い内容になっていました。
「日本初の民間ロケット打ち上げ」記事から見る、ニュースを読むときの注意点としてまとめます。

まずは、大手新聞社のタイトルと記事の抜粋です。


【各新聞社のタイトルと記事の抜粋】


[宇宙ロケット、打ち上げ失敗 エンジン緊急停止]
(日本経済新聞:2017-07-30)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ30H3A_Q7A730C1000000/
────記事からの引用ここから────
 実業家の堀江貴文氏らが創業したベンチャー (VB) のインターステラテクノロジズ (北海道大樹町) は30日午後4時32分、観測ロケット「MOMO (モモ) 」初号機を打ち上げた。
飛行中に機体の情報が受信できずエンジンを緊急停止し海に落下。
民間単独開発ロケットの宇宙への挑戦は失敗に終わったが、堀江氏は「後継機を3カ月後に開発する」と次の狙いを語った。
 「機体が破損するなどの不具合があった」。
記者会見で、インターステラの稲川貴大社長は宇宙空間に届かなかった原因を語った。
打ち上げ直後は正常だったが、66秒後に飛行速度がマッハを超えたときに機体が破損したとみられる。
配線などが破れて機体からの通信が途絶えた。
直後にエンジンを緊急停止させた。
到達高度は約10キロで海岸から約6.5キロメートルに着水したという。
・・・・中略・・・・
 今回、エンジン開発と姿勢制御は成功した。
機体破損の原因究明と対策が、インターステラが2020年の打ち上げを目指す次世代ロケット開発への第一歩となる。

────記事からの引用ここまで────

[初の民間ロケット打ち上げ失敗 発射直後に不具合 堀江貴文氏ら創業の宇宙ベンチャー]
(産経新聞:2017-07-30)
http://www.sankei.com/life/news/170730/lif1707300029-n1.html
────記事からの引用ここから────
 宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズ (北海道大樹町) が自社開発した小型ロケット「MOMO (モモ) 」初号機が30日午後4時半ごろ、同町の発射場から打ち上げられたが、発射直後に不具合が生じた。
打ち上げは失敗したとみられる。
 同社関係者の公式ツイッターによると、発射直後に通信が途絶し、エンジンを緊急停止させた。
機体は海上に墜落し、打ち上げは失敗したもようだ。
 MOMOは国内の民間企業が単独開発した初の宇宙ロケットで、政府が推進する民間宇宙ビジネスの旗手として期待されていた。
 計画では、打ち上げ約4分後に高度100キロ以上の宇宙空間に到達。
その後は地球の重力で落下し、同約7分後に大樹町から東南東約50キロの太平洋に着水して、機体は船で回収される予定だった。
 MOMOはエタノールと液体酸素を燃料に使う1段式のロケットで、全長10メートル、重量約1トン。
重さ20キロの荷物を搭載でき、今回は観測装置などを積んでいた。

────記事からの引用ここまで────

[民間ロケット、宇宙届かず…エンジンを緊急停止]
(読売新聞:2017-07-30)
http://www.yomiuri.co.jp/science/20170730-OYT1T50042.html
────記事からの引用ここから────
 日本初の民間単独による宇宙空間到達をめざし、新興企業インターステラテクノロジズ (北海道大樹町) が開発・製造した小型ロケット「MOMO (モモ) 」 (全長約10メートル、重さ約1トン) が、当初予定された29日から打ち上げ時刻を再三延期した末、30日午後、同町の実験場から打ち上げられた。
 しかし約1分後に飛行データの送信が途絶えたため、同社はエンジンを緊急停止させ、MOMOは同町沖合約6.5キロ・メートルの太平洋に落下。
初挑戦で宇宙には届かなかった。
 同社は2020年頃に重さ100キロ・グラム以下の超小型人工衛星の打ち上げを受注することをめざし、低価格ロケットの開発を進めている。
今回の打ち上げは宇宙空間に届くロケットの技術を得る目的で、2分間エンジンを燃焼させて打ち上げ4分後に最高高度に到達させ、大気圏と宇宙空間の境界とされる高度100キロ・メートルを超える計画だった。

────記事からの引用ここまで────

[ホリエモンロケット、宇宙空間達せず エンジン緊急停止]
(朝日新聞:2017-07-30)
http://www.asahi.com/articles/ASK7X5H53K7XUBQU013.html
────記事からの引用ここから────
 元ライブドア社長で実業家の堀江貴文さんが出資する宇宙ベンチャー、インターステラテクノロジズ (北海道大樹 (たいき) 町) は30日、同町から小型ロケット「MOMO」を打ち上げた。
直後に機体からの通信が途絶えたため、エンジンを緊急停止。
宇宙空間には達しなかった。
 MOMOは全長約10メートル、重さ約1150キロ。
無重力環境の測定装置などを積み、民間企業が独自に開発したロケットとして初の宇宙空間 (高度100キロ) への到達をめざしていた。
 打ち上げは当初、29日に予定されていたが、濃霧のため直前に中止になり、30日に延期されていた。
大樹町内の発射場から約4キロ離れた見学会場には、朝から多くの家族連れらが訪れ、打ち上げを見守った。
 同社によると、MOMOは午後4時31分に打ち上げられた。
4分で高度100キロに到達する計画だったが、66秒後に飛行データを正常に取得できなくなり、エンジンを緊急停止した。
当時の機体の高度は約20キロで、発射場から約6.5キロ離れた太平洋に落下したとみられる。
機体は回収できなかったという。

────記事からの引用ここまで────

[ホリエモンロケット 打ち上げ失敗か 宇宙への夢かなわず]
(毎日新聞:2017-07-30)
https://mainichi.jp/articles/20170730/k00/00e/040/187000c
────記事からの引用ここから────
 宇宙ベンチャー「インターステラテクノロジズ」 (北海道大樹町) は30日午後4時半ごろ、自社開発した初の観測ロケットを同町から打ち上げたが、目標の高度まで到達できず、打ち上げは失敗したとみられる。
民間単独のロケットとして、国内初の宇宙空間到達を目指していたが、かなわなかった。
 同社の生みの親で、元ライブドア社長の堀江貴文さん (44) らが打ち上げを見守った。
堀江さんと、インターステラテクノロジズ社長の稲川貴大さん (30) は30日に現地で記者会見する。
 ロケットは直径約50センチ、全長約10メートル、重さ約1トン。燃料に安価なエタノールを使用し、エンジンを自社開発するなどしてコストダウンを追求。
現行の観測ロケット (1機当たり) の約10分の1に当たる5000万円以下の打ち上げを目指していた。
 今回は人工衛星は積んでいないが、将来的には超小型衛星を軌道に投入する大型ロケットの商用化を目指していた。
同社は堀江さんが2013年に創業した。

────記事からの引用ここまで────


【各新聞社の大まかな記事の傾向】

  • 日本経済新聞…創立者 (シードマネー出資者) の堀江貴文氏の発言だけで無く、稲川貴大社長のコメント、ニュースの全容とこれまでの経緯を俯瞰し把握できる内容。
    最後に今後の期待で締められている。
     
  • 産経新聞…堀江貴文氏の名前はあるが、記者会見に臨んだ稲川貴大社長の名前は無い。
    今回の打ち上げに関する情報を中心に記載。
     
  • 読売新聞…堀江貴文氏や稲川貴大社長の名前は出ていない。
    短い記事で、今回の打ち上げに関する情報とロケット開発計画について簡単に触れている。
     
  • 朝日新聞…公式なロケット名では無く「ホリエモンロケット」なる名前をタイトルに採用。
    堀江貴文氏の名前はあるが、記者会見に臨んだ稲川貴大社長の名前は無い。
    今回の打ち上げに関する情報を中心に記載。
     
  • 毎日新聞…公式なロケット名では無く「ホリエモンロケット」なる名前をタイトルに採用。
    また、インパクトのある「宇宙への夢かなわず」をタイトルに採用し、会社やロケット開発計画がご破算になったかのような記事の内容となっている。
    今回の打ち上げに関する情報ではなく、これまでの経緯を中心に記載。


【ニュースを読むときの注意点】

  1. センセーショナルな記事ほど読まれる
    失礼かもしれませんが、インターステラテクノロジズの稲川貴大社長より、創立者 (シードマネー出資者) の堀江貴文氏の方が知名度があります。
    ので、両名を記載していない読売新聞を除いて、各紙に堀江貴文氏の名前が出てきます。
    また、毎日新聞はインパクトのある「宇宙への夢かなわず」とタイトルに記載しました。
    これは、センセーショナルな記事ほど読まれるためです。
     
  2. 利益のためのニュースは正確さで劣る
    朝日新聞と毎日新聞は、公式なロケット名「MOMO」では無く「ホリエモンロケット」なる名前をタイトルに採用しました。
    「ホリエモンロケット」という名前のロケットは存在しません。
    しかし、利益を出すためにはニュースが読まれなければならず、正確さが劣る造語をつくってでも読者の目を引こうとします。
    新聞社をはじめとするマスメディアにとって、読まれたり見られたりしないニュースに価値は無いのです。
     
  3. ニュースは正確性よりも速報性を優先する
    ニュースには賞味期限があるので、正確性よりも速報性を優先します。
    今回は正確な情報が少ないので、「~によると」、「~とみられる」、「~もようだ」などのインタビューや公式Twitterからの引用、そして推測情報が多く、それ以外は今回のロケット打ち上げ計画の情報、またはロケット開発計画について触れた記事が多いです。
    情報を集め、正確にロケットの飛翔データを解析したら、数値などは変わっていきます。
    しかし、いちいち訂正するのも面倒なので、このような推測表現が含まれた記事になります。
    読売新聞のようにわざと最小限の情報だけに絞って記事にするケースもあります。
    これは、正確性よりも速報性を優先し、出来る限り間違いとならないように各紙が工夫した結果です。

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ちなみに、リアルニュースよりフェイクニュースのほうが人気があり、アメリカでは大統領選挙 (ヒラリー陣営への攻撃、トランプ陣営への攻撃など) の頃からたびたび問題視されるようになりました。
しかし、CNNがアメリカ合衆国のトランプ大統領や共和党、そして共和党支持者から批判されているように、リアルニュースが正しいとも限りません。

新聞は、同じニュースを複数の新聞社の記事で読み比べると、偏ることなくそのニュースに対する自身の考えをまとめられると思います。
今回は科学ニュースでしたが、政治ニュースでは特に顕著に各紙の傾向が現れます。
BlogやSNSが台頭した今も、新聞はニュースソースとして特別な位置にあります。
しかし、新聞社は営利企業であり、利益を出すための記事と構成になっていることを忘れてはいけません。

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