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2018-07-29

地球科学におけるポールシフトとは地磁気極の移動のこと

猛暑日 (日中のの最高気温が35℃以上) が続いていますが、そのニュースに対するコメントで…
  • ポールシフトによって地球自転軸が移動している。
  • ポールシフトによる地軸の移動は過去に何度も発生している。
  • その根拠として北極星の位置が移動している。
…といったようなデマを目にすることが多くなっています。

地球 (2面イメージ)

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※検索なので、そのときによって検索結果は異なります※

ので、今回は地球科学におけるポールシフトについてふれたいと思います。

地球科学におけるポールシフトとは…
  • 地球科学においては地磁気極の移動 (シフト) を意味する。
  • すなわち「地磁気のポールシフト」のこと。
  • 古地磁気の研究から地磁気極の移動や反転は、過去に何度も発生していることがわかっている。
…というものです。

地磁気は双極子磁場としてとらえられるため、北磁極 (地磁気の北極) と南磁極 (地磁気の南極) が地磁気極を構成します。
この北磁極と南磁極は地球内部のマントルなどの動きによって数年単位でも位置が変わっています。
また、海洋プレートに記録された古地磁気の研究 (古地磁気学) によって、数万年から数十万年の頻度でN極とS極が反転していることも発見されています。

地球が誕生してからこれまで、自転軸が反転したり横倒しになったことはありません。
月を生じたジャイアント・インパクト説ですら、地球の自転軸は23.4度の傾きを生じた (公転面に対する自転軸の傾斜角) だけで、天王星のように横倒しにはなっていません。
一応、大地震などで「広義のポールシフト」である極運動が発生し、自転軸が数cm変化することはありますが、地球温暖化といった、地球環境が激変するほどの影響は生じません。

また、地球は歳差運動をしているため、北極星が移り変わっていくのも自然なことです。

地球科学における歳差運動とは…
  • 自転軸が円をえがくように振れる現象 (すりこぎ運動とも表現される) 。
  • 地球の歳差運動の周期は約25,800年である。
  • すなわち、北極星は長期的には移り変わって別の星を示すときもあるが、約25,800年周期で元の星が天の北極 (自転軸上) に見られるようになる。
    (他の運動もあるため25,800年の周期は厳密ではない)
…というものです。

21世紀現在の北極星はこぐま座α星 (ポラリス) です。
しかし、今から約4,800年前 (紀元前2800年頃) には、天の北極はりゅう座α星のあたりに位置し、この恒星が当時の北極星でした。
つまり過去の北極星は、現在の北極星と異なるのです。

The Internet 上における「ポールシフト」の用いられ方は、地磁気極の移動ではなく自転軸の移動を意味する文脈で使われることが多いです。
もっぱら疑似科学やオカルトの話でありながら、まるで真実のようにコメントされ、自転軸上の北極と南極が何らかの要因で、短時間のうちに反転する意味で使われることすらあります。
これら自転軸の移動の意味で用いられた「ポールシフト」のコメントに対して反論がほとんどコメントされないため、本気で信じている方が多いのだろうか?、といささか心配になります。