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2018-02-18

私の仮想通貨と仮想通貨取引所の使い方についての考え

私は2017年に国内では唯一、仮想通貨 Monero (モネロ) に対応している仮想通貨取引所の Coincheck (コインチェック) にアカウントを作成しました。
Coincheck はコインチェック株式会社が運営する仮想通貨取引所サービスで、仮想通貨の売買やトレーディングなどが行えます。

仮想通貨の代表 Bitcoin (イメージ)

2018年1月26日に Coincheck で NEM (ネム) 不正流出事件が発生し、仮想通貨の取引と日本円の出金が停止されました。
この事件は、長期間にわたってシステムの脆弱性と社内の内部統制の問題を放置して Bitcoin (ビットコイン) の不正流出を起こした Mt. Gox (マウントゴックス) と類似点が多い事件です。

これらの事件で重要なのは…
  • 仮想通貨そのもののアルゴリズムなどに脆弱性は見られない。
  • 仮想通貨取引所のセキュリティや内部統制などが問題。
  • このような事件が発生した場合の顧客保護の仕組みは整備されていない。
…という点です。

そのため、金融庁はコインチェック株式会社を除いた仮想通貨取引所の登録業者と見なし業者の全31事業者に対しての立ち入り検査を計画しています。

[金融庁立ち入り検査 コインチェック以外の複数社にも]
(日本経済新聞:2018-02-07)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26637790X00C18A2EE9000/

[「みなし業者に順次立ち入り検査」金融相]
(日本経済新聞:2018-02-16)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26989660W8A210C1EAF000/

顧客資産の仮想通貨 NEM (ネム) 約580億円分が不正流出したこの事件の後、コインチェック株式会社は時期を未定としながらも自己資金による補償を発表しています。
コインチェック株式会社は自己資本9,200万円の会社なので、自己資本の600倍もの資金を調達しないと補償はできません。
それでもコインチェック株式会社は事業継続を目指し、2018年1月29日に金融庁から業務改善命令を受けて2018年2月13日に再発防止策を報告、そして、日本円に限定して出金を再開しました。
なお、仮想通貨取引所の登録業者や見なし業者は顧客資金を分別保管することとなっていますから、仮想通貨流出事件があろうとも、出金できて当然です。

[コインチェック、出金を再開]
(日本経済新聞:2018-02-13)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26821410T10C18A2MM0000/

さて、私はというと、もともと仮想通貨取引所は金融機関ではないので信用しておらず、今回の事件の影響はまったく受けていません。
これは自身の考えに基づいて、仮想通貨取引所の使い方に注意を払うなどの行動基準を設定していたことによるものです。

【私の仮想通貨についての考え】

  1. 仮想通貨は決済手段でしかなく、マイクロペイメント (特に少額の個人決済) に利用価値がある。
  2. 仮想通貨そのものは付加価値を生まず、従って仮想通貨の売買やトレーディングなどの投資や投機の対象にはしない (仮想通貨を対象とした投資や投機は禁止) 。
  3. 流動性が低い仮想通貨や理念・設計思想がわからない仮想通貨には手を出さない。
  4. Bitcoin (ビットコイン) やEthereum (イーサリアム) のように、仮想通貨はハードフォークが発生するケースがあるので関心を持った仮想通貨の情報収集は適時行う。
  5. 規制当局は勝つまで規制を試みるので、仮想通貨に関する法規制に留意する。

【私の仮想通貨取引所の使い方についての考え】

  1. 可能であれば、安定的な株主で構成された会社が運営する仮想通貨取引所を選択する。
  2. 仮想通貨取引所は金融機関ではないので信用せず、多額の現金を預けない。
    (国内の仮想通貨取引所の登録業者は顧客資金を分別保管することとなっていますが、取引所の運営会社が倒産したときは顧客資金は管財人に差し押さえられて、債権者に分配され全額が戻ってこない可能性があるため)
  3. 仮想通貨ウォレットは仮想通貨取引所とは別に用意して適切な手段で管理・保持する。
    (仮想通貨取引所はあくまで仮想通貨を現金化する手段のみに利用を限定し、仮想通貨ウォレットにはしない)
  4. 仮想通貨ウォレットと仮想通貨取引所との間の仮想通貨送金手数料は安全性のためとして割り切る。
  5. 仮想通貨の換金などで仮想通貨取引所を使う場合、現金や仮想通貨は出来る限り、預ける期間を短期間に留める。

私にとって、仮想通貨取引所の使い方は Coincheck の事件後も大きくは変わりません。
しかし、今回の事件を受け、多彩な仮想通貨を取り扱うだけでなく、仮想通貨取引所の倒産リスクを考慮して株主が安定的なところを選ぶように検討していきたいと思います。
仮想通貨取引所の使い方の1つ目は、今回の事件を受けて、仮想通貨取引所は資本力や事業継続力が大切なのだと思い、新たに生じた考えです。

例えば、真偽は今のところ明確にはなっていませんが、テックビューロ株式会社が運営する仮想通貨取引所 Zaif (ザイフ) でも2018年2月17日に重大なエラーが発生したようです。

[【大炎上】仮想通貨取引所ザイフ(Zaif)で重大エラー発生 / 10億ビットコインを0円で販売]
(Buzz+ News:2018年2月17日)
http://buzz-plus.com/article/2018/02/17/zaif-coincheck-bugs-and-errors/

[【非常事態】仮想通貨取引所zaif(ザイフ)ログイン出金不可能で利用者逃げられず / 重大エラーで10億ビットコインを0円で販売し信用ガタ落ち]
(Buzz+ News:2018年2月18日)
http://buzz-plus.com/article/2018/02/18/zaif-coincheck-not-escape/

このような事件が発生した場合、運営会社がある程度の安定的な株主で構成されていて、かつ対処能力と資本金があれば、取引を無効化するか (約款による) 、損失補填するか (取引を無効化せず生じた損失は会社で計上して処理する) 、そしてそれらの手続きは合法であるか、など対処や判断をステークホルダーの支援を受けて行うことができます。

Coincheck や Zaif の対応を見ると、まだまだ仮想通貨取引所は信用できず、私の仮想通貨取引所の使い方についての考えが変わるまでには至りません。

仮想通貨取引所の問題が目立ちますが、それでも、仮想通貨そのものはまだまだ発展途上であり実に面白く、将来、大きく発展する可能性がある技術なので、これからもトレースしていきます。

《更新:2018-02-20》
仮想通貨取引所であるZaifに「異常値の表示に関するお詫びとご報告」が掲載されました。

[16日に発生した異常値の表示に関するお詫びとご報告]
(Zaif:2018-02-20)
https://corp.zaif.jp/info/8750/

2018-02-04

持ち株にTOBが実施された場合の対処について

私はポケットカード (証券コード:8519) の株式を持っていますが、TOBが実施されました。

株式市場 (イメージ)

2017年11月、伊藤忠商事 (証券コード:8001) は、ユニー・ファミリーマートホールディングス (証券コード:8028) 傘下のファミリーマートと共同で、ポケットカードへのTOB (株式公開買付け) を実施し、成立しました。

[当社完全子会社によるポケットカード株式会社 (証券コード:8519) の株券に対する共同公開買付けの結果に関するお知らせ]
(伊藤忠商事:2017-11-15)
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/news/2017/__icsFiles/afieldfile/2017/11/15/ITC171115j_3.pdf

そして2018年2月1日にポケットカード (証券コード:8519) は上場廃止になりました。
今回の経験を基に、持ち株にTOBが実施された場合の対処についてまとめます。

  1. TOB公開買付代理人の口座があるまたは新規に作る場合
    今回のTOBの公開買付代理人は野村證券です。
    公開買付代理人である野村證券に口座を作成する、または既に口座がある場合、該当の株式をその口座へ移管し (既に口座がある場合はそのまま保管し) 、TOBへ申し込むことが可能です。
    • メリット:公開買付代理人の証券会社に口座がある場合は、手数料がかからずに確実にTOB価格で現金化ができる。
    • デメリット:公開買付代理人の証券会社に口座がない場合、口座開設や株式を移管するなど手数料がかかり、かつ、非常に手間がかかる。
  2. 市場で売却する場合
    公開買付代理人の証券会社の口座がない場合、市場で該当株式を売却することで即時に現金化が行えます。
    • メリット:他の選択肢と比較して、最も早く現金化できる。
    • デメリット:TOB価格1,072円より若干低い価格水準での売却となり、かつ、売買手数料がかかる。
  3. 放置して強制買取を待つ場合
    放置した場合、TOB成立後に臨時株主総会が開かれます。
    この臨時株主総会で他株主を排除するための株式併合を決定し、主要株主以外の株主の持株は1株未満になります。
    そして、1株未満の端数株は会社法の「端数処理の方法に関する事項」に則って、その合計数に相当する株式を、非公開買付会社であるポケットカードが買い取りすることになります。
    • メリット:何もしなくても持ち株がTOB価格で現金化される。
    • デメリット:他の選択肢と比較して、最も現金化まで時間がかかる。

以下はこれまでのポケットカードTOBのイベントと今後の予定です。

【ポケットカードTOBのイベント】
 2017年08月03日 … 伊藤忠商事がTOB実施を発表
 2017年10月02日 … TOB (公開買付け) 開始
 2017年11月14日 … TOB (公開買付け) 終了
 2017年11月15日 … 伊藤忠商事がTOBの結果を発表
 2018年01月16日 … ポケットカード臨時株主総会 (株式併合や端数株買取の決定など)
 2018年02月01日 … ポケットカード (証券コード:8519) 上場廃止
 2018年02月06日 … 株式併合予定日 (5,557,600株を1株へ併合)

ポケットカードの場合、臨時株主総会の後に上場廃止、株式併合、そして端数株の買い取りが行われます。

今回は大した金額ではなかったので、「放置して強制買取を待つ」ことにしましたが、大金だったときは現金化までに時間がかかるので要検討ですね。

《2018年3月26日追記》
2018年3月2日付でポケットカード(株)から「株式併合後の端数株処分代金お支払いに関するご案内」が届きました。
端数株処分代金を証券会社口座で受け取ることはできないようです。
そのため、案内に従い「端数株処分代金振込指定書」という書類を提出しました。
なお、もし、この書類を提出しない場合はゆうちょ銀行で現金化できる「端数株処分代金領収書」が郵送されてくるようです。

【ポケットカード端数株処分代金支払いまでの流れ】
 2018年02月06日 … 株式併合効力発生日 (5,557,600株を1株へ併合)
 2018年03月02日 … 端数株処分代金支払いに関する案内発送日
 2018年03月26日 … 端数株処分代金振込指定書提出期限
 2018年04月26日 … 端数株処分代金に関する書類発送日
 2018年04月27日 … 端数株処分代金支払い日 (開始日)