2017年5月21日

グレーゾーン金利の利息の過払い金返還請求は法律不遡及の原則に反しない

無担保で多額のお金を貸す銀行カードローンの貸付が急増しているとの報道がでています。

[カードローン、多重債務の温床に 貸付急増、3メガ銀で1.6兆円 - SankeiBiz]
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170517/bse1705170500001-n1.htm
──引用ここから────────
銀行のカードローンの貸出残高が年々増加し、多重債務の温床となる恐れが浮上している。
過去には消費者金融による過剰な貸し付けで自己破産が多発し社会問題となったこともあるだけに、融資拡大を問題視する声が上がり、各行は自主規制に乗り出した。
ただ日本弁護士連合会 (日弁連) などは「自主規制による対応では不十分」とし、法改正などを求めている。
──引用ここまで────────
かつては消費者金融 (サラ金) による過剰な貸し付けとグレーゾーン金利が問題になりましたが、利用者の行動が変わるわけではないので貸し付け側への規制によって対応していました。
カードローンは手軽に利用でき、規制も消費者金融より緩いため利用者が流れているようです。
まあ、消費者金融は銀行傘下となり、貸し付け審査をするノウハウをカードローン事業者へ提供しているのであまり変わらないのですけどね。

・・・・閑話休題・・・・

2010年6月18日に改正貸金業法が施行され、消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者からお金を借り入れる際の金利の上限が、それまでの「29.2%」から「20%」に引き下げられました。
いわゆるグレーゾーン金利と呼ばれていた金利差が解消するよう、法改正したものです。

少し疑問に思っていたことに「改正貸金業法施行前の分の過払い金返還請求は法律不遡及の原則に反するのではないか?」というものがあります。
※法律不遡及の原則…法律が施行されるより前の事案は、法律が変わったからといって過去に遡ってその法律を適用してはならない (憲法第39条)
結論から書きますと、そもそもの過払い金返還請求の法源が改正貸金業法とは異なるので法律不遡及には当たらない、ということでした。
  • 過払い金返還請求の法源は2006年1月13日の最高裁判所の判決。
  • 最高裁判所の判決の根拠は、「グレーゾーン金利は民法703条の不当利得にあたる」というもの。
  • 2010年6月18日に改正貸金業法が施行 (グレーゾーン金利の解消) されたのはその判決を受けてのこと。

2006年1月13日、消費者が貸金業者を訴えた裁判で、最高裁判所は「20%を超える金利は不当である」とする判決を下しました。
判決では、20%を超えるグレーゾーン金利の利息は民法703条の「不当利得」とし、もともと貸金業者が受け取るべきではない利益だと認定しました。

この判決の結果、20%を超える分の利息は、借り手は返還を請求できることになりました。
これが「過払い金の返還請求」の法源で、これ以降、司法は20%を超えるグレーゾーン金利の利息を返還する判決を出すようになりました。
ただし、過払い金 (債権) は10年の時効があります。
※民法167条…債権は10年、それ以外の財産権 (ただし所有権を除く) は20年の時効期間が経過すると消滅する。

この最高裁判所の判決を受け、立法府である国会は貸金業法を改正し2010年6月18日に施行、20%を超えるグレーゾーン金利は解消しました。

というわけで、過払い金返還請求は2010年6月18日施行の改正貸金業法ではなく、2006年1月13日の最高裁判所の判決が法源なので、法律不遡及の原則に反しないのです。

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