土壌の採取自体は3月21日と3月22日です。
当たって欲しくない予測が当たってしまいました。。。
[福島第一原子力発電所構内における土壌中の放射性物質の検出状況について - 東京電力]
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11032806-j.html
[日本の放射能濃度関連サイト - Skygear (3月27日の本Blogの記事) ]
http://skygear.blogspot.com/2011/03/blog-post_27.html
これは、原子炉で完全な放射性物質の遮蔽ができなくなっていることを意味します。
特に、水を注水しても圧力容器内の圧力が上がらない2号機のダメージが深刻ではないかと考えられています。
こうなると、一刻も早く冷温停止状態にするだけでなくその後の放射能汚染域の除染、そして核燃料が溶融した原子炉 (高い確率で原子炉の核燃料は溶融している) の解体・撤去が絶対に必要になってきます。
少なくとも、以下のような作業や長期的な対応が必要になります。
- 放射能汚染域の調査と土の入れ替え
大まかには土壌の表面30cmを取り除き、土を2m掘り返して入れ替える除染作業が必要です。
おそらく、福島第一原子力発電所から40km - 50km圏内で行う必要が出てくるでしょう。 - 地下水や水源の放射能検査
土壌が汚染された以上、地下水や水源の調査も定期的に必要です。 - 定期的な野菜、肉、牛乳などの放射能検査
残念ながら、事故後の初期は野菜が汚染されます。
その後、食物連鎖によって放射性物質が蓄積され、肉、牛乳が汚染されます。
チェルノブイリ原子力発電所の事故ベースですと事故後2ヶ月 - 5ヶ月あたりから肉、牛乳で放射性物質が検知されるようになりました。
ただ、諸外国と比較すると日本の酪農は放牧ではなく飼料による飼育がほとんどなので肉、牛乳への影響は限定的と考えられます。
風評被害を抑えるためにも数年は継続検査が必要でしょう。 - 定期的な水産物の放射能検査
大量の放射性物質を含んだ汚染水が現在 (4月3日) も海洋へ流れています。
太平洋側で水揚げされた水産物の長期的な放射能検査が必要でしょう。
なお、旧ソ連は日本海や北極海に原子炉を投棄していますが、今のところ深刻な放射能に汚染された水産物が見つかったケースはありません。
海洋では放射性物質は拡散しやすいため、水産物への影響は限定的と考えられます。 - 定期的な住民への検診
福島第一原子力発電所近郊の住民への長期的な検診を行う必要が生じるでしょう。 - 原子炉の解体と撤去
スリーマイル島原子力発電所事故をベースとすると、冷却、放射能低下を待つ、溶融した核燃料の撤去、原子炉の解体と撤去、のこれら一連の作業に15年 - 20年程度かかると思われます。
- レベル7 … チェルノブイリ原子力発電所事故 (1986年)
- レベル6 … ウラル核惨事 (1957年) ←福島の原発事故はこのレベルか?
- レベル5 … スリーマイル島原子力発電所事故 (1979年)
- レベル4 … 東海村JCO臨界事故 (1999年)
日本政府から福島第一原子力発電所からの放射能拡散シミュレーションが3月24日 (資料は3月23日) に公開されました。
[緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム (SPEEDI) の試算について - 原子力安全委員会]
http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
アメリカは「福島第一原子力発電所から半径30kmの外には放射能は漏れていない」、として日本政府と判断を同じにしました。
[Radiation Spread Seen; Frantic Repairs Go On - The New York times]
http://www.nytimes.com/2011/03/18/world/asia/18intel.html
2 件のコメント:
参考資料
環境放射線データベース
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/servlet/search.top
過去1975年~2008年の日本国内の土壌における放射能濃度:Pu-239+240
(高い値を拾ってみると)
福井県 土壌 1978/11/26 今立郡池田町 Pu-239+240 17.02Bq/kg
福井県 土壌 1980/05/12 福井市 Pu-239+240 8.325Bq/kg
福井県 土壌 1982/07/13 勝山市 Pu-239+240 7.363Bq/kg
京都府 土壌 1993/05/17 舞鶴市 Pu-239+240 3.4Bq/kg
京都府 土壌 2001/07/30 舞鶴市 Pu-239+240 3.0Bq/kg
京都府 土壌 2005/07/06 舞鶴市 Pu-239+240 3.0Bq/kg
福島県 土壌 2001/06/26 福島市 Pu-239+240 0.85Bq/kg
福島県 土壌 2002/06/20 福島市 Pu-239+240 0.83Bq/kg
福島県 土壌 2007/06/12 福島市 Pu-239+240 0.57Bq/kg
福島第一原子力発電所 土壌中のPu測定結果(PDF 89.4KB)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110328m.pdf
福島第一原発 2011/03/21 グランド付近 Pu-239+240 0.27Bq/kg
福島第一原発 2011/03/22 1・2号機排気塔から1.00km Pu-239+240 0.26Bq/kg
福島第一原発 2011/03/22 1・2号機排気塔から0.75km Pu-239+240 1.20Bq/kg
福島第一原発 2011/03/22 1・2号機排気塔から0.50km Pu-239+240 1.20Bq/kg
福島第一原発 2011/03/22 固体廃棄物貯蔵庫前 Pu-239+240 0.19Bq/kg
fooさん、参考資料ありがとうございます。
現段階でのプルトニウム濃度自体は気にするレベルに無いことが具体的な数値でわかるのは良いですね。
後は汚染を抑えつつ、冷温停止後の原子炉圧力容器や原子炉格納容器のシールが速やかに行えるかどうかが鍵になります。
原子炉圧力容器や原子炉格納容器に損傷が無く、水素爆発や放射性物質を含む汚染水の大量流出によって、たまたまプルトニウムが検知されただけだと願いたいところですが。。。
また、政府には事故沈静化後の速やかな放射能汚染域の調査 (特に放射性ストロンチウムと放射性セシウム、発電所近郊はプルトニウムも追加) と必要に応じた除染、そしてその結果を根拠とした「安全宣言」を出して欲しいです。
チェルノブイリ原子力発電所事故のような大規模な放射能汚染の生じる可能性は小さいですが、冷温停止に至っただけでの「安全宣言」では福島第一原子力発電所近郊の住民の不安も風評被害も解消されることはないでしょう。
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