今回の安保法案は、集団的自衛権を明文化した法案になります。
集団的自衛権の方が個別的自衛権だけより経済的であり、永世中立国のスイスのような徴兵制もありません。
ましてや戦争を仕掛けられないための抑止力としては集団的自衛権の方が有効なのは冷戦期のヨーロッパを見れば明らかですし、NATOのような集団安全保障 (集団的自衛権とは若干異なる) の組織を構成していなかったアジア諸国で戦火が絶えなかったことを考えれば、集団的自衛権を宣言している方が戦争抑止になって良いです。
それに、紛争地域からの在外邦人の救出に自衛隊を活用できない現在の自衛隊法の方が問題です。
1985年にイラン・イラク戦争中に在外邦人の救出に自衛隊を活用できなかった時から30年が経ちました。
当時、現イランの地在留邦人は日本政府から見捨てられ、トルコ及びトルコ航空が脱出の支援してくれなかったら死傷者が出ていたことでしょう。
日本と軍事的な連携をとっている国はアメリカ合衆国 (日米安全保障条約) とオーストラリア (安全保障協力に関する日豪共同宣言)があります。
「アメリカ合衆国の戦争に巻き込まれる」という主張もありますが、今回の安保法案は必ず集団的自衛権を行使する性格の法案ではないですし、イラク戦争にNATO加盟国のドイツやフランスが反対して加勢しなかったことからも明らかなように、日米安全保障条約と今回の安保法案があっても後方支援などを含め、支援するかどうかは主権国家として国益を判断していけば良いだけの話です。
そして、徴兵制については今回の安保法案と無関係です。
複雑な兵器を使えるようになるまで育成に時間がかかるようになった現在では、徴兵してもその組織運用が困難になるので多くの先進国で徴兵制は廃止や停止に至っています。
また、本土決戦になるような国家存続に関わる事態 (存立危機事態) になったら、日本人が日本人として生きていけるのは日本列島だけなのだから、国家存続のためにあらゆる手段を講じるのは当然です。
もし、そのような事態になったら、個別的自衛権だろうと集団的自衛権だろうと、憲法停止してでも徴兵は行うでしょう。
・・・閑話休題。
労働関連法案ですが、主たる改正は「労働者派遣法」と「労働基準法」です。
これらの労働関連法案の方が安保法案より国民の生活に直結します。
- 「労働者派遣法」改正案…事実上、派遣社員の受け入れ期間の上限をなくすもの。
派遣社員の固定化につながるとの指摘が多い。 - 「労働基準法」改正案…一定の業務に従事する年収1075万円以上の労働者には、時間外・休日・深夜の割増賃金を払わないでもよいとするもの。
とくに、「労働基準法」改正案は第一次安倍内閣で廃案になったホワイトカラー・エグゼンプション制度 (ホワイトカラー労働者に対して労働時間規定の適用を免除すること) の焼き直しで、「残業代ゼロ法案」とも言われています。
「安保法案」改正案は、自衛隊の運用に国会承認が必要と規定されていますが、「労働基準法」改正案は一定の業務や年収1075万円については、法律ではなく「省令」で定めるとされており、対象拡大の議論は国会での議論を経ずに決めることができます。
つまり、「労働者派遣法」の時と同じく、法案が成立さえすれば、対象範囲は後で簡単に広げられてしまいます。
ちなみに、経団連は年収400万円以上を対象にすべきだとの主張をしています。
また、成果型労働制でありながら、経営者側は労働者側に対して「成果に応じた高い報酬」を支払うことを義務づける規定はありません。
労働によって発生した付加価値が労働者に必ず還元される仕組みも、経営者がその仕組みをつくり統制する義務も規定がないのです。
私はこれらの労働関連法案に反対です。
下記はchange.orgの労働関連法案反対署名のURLです。
[ 「定額働かせ放題」法案の撤回を求めます! - change.org ]
https://www.change.org/p/定額働かせ放題-法案の撤回を求めます
私としては、安保法案より労働関係法案の方が問題が大きいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿