◆年金の受給方法の違いによる分類年金の受給期間、受給資格者の違いによる分類です。
金銭的なコストは 有期年金<確定年金<終身年金<夫婦年金 の順番に大きくなります。
- 有期年金
年金受給期間は5、10、15年など一定期間で、年金受給期間中に年金受給者が死亡した場合は「払込保険料相当額」-「受取った年金の合計額」を遺族が受取る年金です。
- 確定年金
年金受給期間は5、10、15年など一定期間で、受給者の生死にかかわらず契約した期間の間は受給者または遺族が年金を受取る年金です。
- 終身年金
年金開始後、受給者が生きている限り支給される年金です。
年金受取り開始後に受給者が死亡した場合にはそれ以降の年金は受け取れませんが、受給者の生死にかかわらず受給できる期間を定めた「保証期間付終身年金」が一般的です。
- 夫婦年金
夫婦のどちらかが生存している限り年金が支給される年金です。
契約者本人が死亡した後は配偶者が死亡するまで年金が支給され続けます。
受給者である夫婦の生死にかかわらず受給できる期間を定めた「保証期間付夫婦年金」が一般的です。
◆年金の運用方法の違いによる分類年金の運用方法、運用する通貨の違いによる分類です。
金額変動リスクは 定額個人年金<変額個人年金<外貨建て個人年金 の順番に大きくなります。
- 定額個人年金
定額年金は、契約時に定められた予定利率が契約期間終了まで適用される年金保険です。
契約時点で将来の受け取り金額が確定していますので将来の計画が立てやすいですが、インフレに弱い欠点があります。
- 変額 (投資型) 個人年金
保険会社の運用実績によって、将来受取る年金額や死亡給付金額、解約返戻金額が増減する個人年金保険です。
運用実績が悪くても最低補償年金額や最低死亡給付金額が保証された変額個人年金が多いです。
運用実績とインフレには相関があると考えられていますので、将来のインフレに備えることが可能です。
自身で資産運用を行う場合、手数料を考えると変額個人年金に支払う資金を資産運用に回した方が金銭的に有利になる可能性があります。
- 外貨建て個人年金
日本では低金利政策の結果、予定利率が低い保険商品が多いですが、外貨建て個人年金保険は海外の高金利の通貨で運用することにより高い予定利率の運用を行う年金です。
ただし、保険料、年金ともに外貨です。 (通常、円に換算して支払ったり受け取る特約があります)
支払いは定額 (あくまで外貨基準) の場合が多いです。
為替の影響は直に受けるため、円高にふれれば、元本割れもあり得ます。 (為替リスク)
年金契約は長期になるため、時間分散によって為替リスクは抑えられます。
これらの種類の組み合わせで個人年金は保険商品として構成されます。
公的年金だけでは不安と感じる場合、年金額はいくらで保険料はどれだけ支払うか、インフレのリスクはどうするか、自身での資産運用はどうするか、円建てにするか、外貨建てにするかを検討する必要があります。
つまり、どれだけのリスクを取れるかによって契約する保険の種類も異なってくるのです。
投資をしていない方の場合、「長生きリスクに備える」と言う意味では年金保険は良いと思います。
しかし、投資をしている方の場合はこの考え方は当てはまりません。
なぜなら、
複利を考えると年金保険は利回りの良い金融商品ではないためです。
そのため、「長生きに投資または賭ける、投資している金融商品がリタイア後に値下がりしても大丈夫なように最低保障として利用する」という考えで終身年金をいくらか契約する程度に留めるのが良いと思います。
また、日本の公的年金は積立方式ではないため、社会情勢に応じて保険料や受給額が変わります。
例) 60歳受給から65歳受給に変わった、厚生年金保険料が2004年から2017年の間に13.58%から18.3%に段階的に引き上げられる、など
公的年金に対する不信・不安がある場合、自身で解消する意味でも個人年金保険は有効かもしれません。