2017-08-26

ゼリア新薬の自殺した22歳男性が受けた新人研修は洗脳と同じ

製薬会社のゼリア新薬工業 (以下、ゼリア新薬) に勤めていた男性Aさんが新入社員研修期間中の2013年5月に自死し、「業務上の死亡だった」として2015年に労災認定を受けました。
昔の軍隊のような研修 (イメージ)
Aさんの両親は、ゼリア新薬と研修を請け負った会社、その講師を相手どって、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしましたた。

[ゼリア新薬の22歳男性「ある種異様な」新人研修受け自殺 両親が提訴]
(BuzzFeed Japan:2017-08-08)
https://www.buzzfeed.com/jp/kazukiwatanabe/20170808
────BuzzFeed Japanからの引用ここから────
 製薬会社・ゼリア新薬工業に勤めていた男性Aさん (当時22歳) が、新入社員研修で「過去のいじめ体験」を告白させられ「吃音」を指摘された直後の2013年5月に自死し、「業務上の死亡だった」として2015年に労災認定を受けた。
 Aさんの両親は8月8日、ゼリア新薬と研修を請け負った会社、その講師を相手どって、安全配慮義務違反や不法行為に基づく損害賠償、約1億円を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 
・・・・中略・・・・
 
 中央労基署の認定によると、労基署が注目したのは、4月10日~12日の3日間、ビジネスグランドワークス社が請け負って実施した「意識行動改革研修」。その中で、Aさんの「吃音」や「過去のいじめ」が話題になった。講師から過去の悩みを吐露するよう強く求められた上で、Aさんはこうした話をさせられていたという。
────BuzzFeed Japanからの引用ここまで────
この報道の内容から判断するに、ゼリア新薬で行われていた新人研修はカルト集団などで用いられる洗脳手法と同じです。


【洗脳手法との類似性】

細かい洗脳の方法は集団によって違いますが、大まかなところはほとんど変わりません。
洗脳は「揺さぶり」、「刷り込み」、「強化」のステップで行われます。

  • 怒ったり、罵倒することで揺さぶる
    怒ったり、罵倒したりすることにより、相手のバランスを崩し続けます。
    ゼリア新薬の今回のケースでも、
     ・いつも大きな声を出す必要があり、機敏な動きを要求され、指導員が優しくない
     ・指導員は終始大きな声できつい口調、命令口調だった
     ・指導員から「バカヤロー」といった発言もあった
    との証言があります。
     
  • 孤立させる
    家族や友だちから離し、情緒面で誰かを必要とする時は強制的に会社や講師の人間だけを頼らせます。
    ゼリア新薬の今回のケースでもAさんは会社の指定した宿泊施設にほとんどの缶詰め状態だったと弁護士が指摘しています。
    (ゼリア新薬の新入社員研修は4月1日から始まり、8月9日まで続く予定でした)
     
  • 同調圧力 (仲間圧力) にさらす
    意識的に同調圧力に操られると、社会倫理、法律などよりその組織の命令に従うようになります。
    ゼリア新薬の今回のケースでもAさんが受けた新人研修は集合研修であり、同調圧力にさらされていたものと考えられます。
     
  • 罪や悩みの告白の強要
    過去に犯した罪や過去の悩み、つらい経験を公に告白させ、その告白を利用します。
    ゼリア新薬の今回のケースでもAさんは「いじめ」を入社同期の前で告白させられています。
     
  • 日々の行動のコントロール
    食べる時間、毎日いつ何をするかを指示し、指示に従うよう強制し、馬鹿げたことをやっていると疑問に思う余地を与えないようにします。
    ゼリア新薬の今回のケースでもAさんは新人研修期間中、会社の指定した宿泊施設に拘束され、毎日いつ何をするかの指示を受けていました。
     
  • 睡眠を奪う
    睡眠や休息不足にさせるだけで、驚くほど効果的に思考をコントロールできます。
    ゼリア新薬の今回のケースでも宿泊施設で時間を拘束され、6時間の睡眠も確保できないような長時間研修を受けていたと弁護士が指摘しています。
     
  • 独自用語による言語統制
    多くのカルト集団は、孤立させるために一般的な言葉を特別な用語に置き換えたり、複雑で抽象的なものを説明する新しい言葉をつくります。
    ゼリア新薬の今回のケースでは言語統制の有無ははっきりしませんが、多くの企業は 多かれ少なかれ独自の用語があります。
     
  • 追放すると脅迫する
    対象者を繋ぎとめるために追放する(法律に触れないよう、明確にクビや解雇するとは言いません)と脅迫することがあります。
    「一度、失職すると再就職は困難」、といったことを信じ込ませることができたら、この手の脅迫の効果は高いものがあります。
    ゼリア新薬の今回のケースでは「新人研修から脱落したものと判断する」 (解雇する) との脅迫の有無ははっきりしません。
    しかし、ブラック企業では、この手の脅迫は後を絶ちません。
    下記はその一例です。
    [東京都労委、引越社関東に救済命令 不当な配置転換で]
    (日本経済新聞:2017-08-23)
    https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG23H8H_T20C17A8000000/
     
    [アリさん引越社がついに謝罪へ…男性は2年間シュレッダー係の仕事に耐え続けた]
    (BuzzFeed Japan:2017-05-24)
    https://www.buzzfeed.com/jp/kazukiwatanabe/20170524 
 
────BuzzFeed Japanからの引用ここから────
懲戒解雇を告げるチラシを社内に掲示し、グループ会社の社内報にも掲載した。
このチラシには名前、顔写真、年齢とともに「罪状」として、「自己の権利を主張し、職責を果たしていない」などと書かれていた。
また、「世の中、まだまだ非常に厳しい状況です。『懲戒解雇』になった場合、再就職先があると思いますか? 家族は誰が養うのですか? 『一生を棒にふることになりますよ。』」といった、従業員を脅すような文言も書かれていた。
────BuzzFeed Japanからの引用ここまで────

もし、会社が研修でこのようなテクニック (洗脳手法) を使っていたら、長期間の集合研修であればそこを抜け出して、家族、弁護士、労働基準監督署などに相談しましょう。
会社でこのような研修が過去から行われている場合、残念ながら労働組合は力になってくれません。

なお、本稿で一方の主張だけというのもバランスが取れませんので、ビジネスグランドワークス社の主張も引用します。
────BuzzFeed Japanからの引用ここから────
一方、ビジネスグランドワークスの宮﨑雅吉代表は、BuzzFeed Newsの取材に次のように回答した。
 「研修内容は問題がないものでした。
  労基署からは事情聴取がなく、労災認定は事実誤認です。
  当社の研修が問題なく終了した後、ゼリア新薬で実施した研修中に不幸があったと認識しています」
研修は3日間の日程で、4月10日が朝9時から夜9時まで、4月11日は朝6時から夜9時まで、4月12日は朝6時からで、午後4時に解散した。
宮﨑代表は「いつまで天狗やっている」「バカヤロー」等の言葉はあったと認めたが、それは「本人に気付いてもらうため」だと説明。研修中に泣き出す人もいるという点については、
 「暗記したものを時間内に発表する審査があり、その審査に合格し、感激して泣き出す人はいます」
とした。
────BuzzFeed Japanからの引用ここまで────

関係者によると「軍隊みたいなことをさせる研修だ」、「途中で体調不良者が出ることもある」との証言もあり、このような研修は生産性向上につながらないどころか、従業員の健康の阻害、幸福度の低下、そして生産性の低下につながることは様々な研究で明らかになっています。

このような研修を推進する間違った考えを持った方や研修を行う会社が、考えを改めて企業文化を一新し、社会だけでなく従業員の幸福にも貢献できる集団に変わるよう、祈らずにはいられません。

また、お亡くなりになられたAさんのご冥福をお祈り申し上げます。

2017-08-19

サングラスのレンズの種類

先日、サングラスが破損したため買い換えました。
カラーレンズだけで無く交換用レンズとして偏光レンズを購入しました。
本稿では、このときにサングラスのレンズの種類について調べた内容を、以下にまとめます。
サングラス (イメージ)

【サングラスのレンズの種類】

  • カラーレンズ
    色をつけたレンズです。
    ブラック系やグレー系以外にもブラウン系、グリーン系、ブルー系、イエロー系、などのバリエーションがあります。
    クリアも含まれ、無色透明ながらUVカットの機能を付加されたレンズもあります。
    カラーバリエーションの多さが魅力です。
     
  • 偏光レンズ
    レンズに挟み込まれた特殊な偏光フィルターにより、眩しさの原因となる反射光を効果的に取り除き、眼に優しい光だけを通すレンズです。
    この偏光機能により路面や水面のギラギラした反射を抑えて、くっきりとした視界がえられます。
    ドライブやフィッシング、ゴルフ、スキーなどにお勧めです。
    ただし、液晶画面は2枚目の偏光板を通過した光により表示を変えているので、偏光レンズを通すとスマートフォンなどの液晶画面が黒く映り、見えなくなることがあります。
     
  • 調光レンズ
    調光機能により、太陽の光 (紫外線量) にあわせてレンズの濃度 (約5% - 80%) が変化するレンズです。
    室内ではクリアに、屋外では濃い色のサングラスになるため、室内から屋外まで、1本のメガネであらゆるシーンをカバーでき良好な視界を確保できます。
    スポーツ観戦や旅行、アウトドアにお勧めです。
    ただし、一般的に濃くなる時間より、色が薄くなっていく時間の方が長くかかるので注意が必要です。
    また、気温が高い場合、色が変わりにくくなります。
    そして、経年劣化し、古くなると色が変わらなくなることもあります。
     
  • ミラーレンズ
    レンズ表面を鏡のように反射加工した、ファッション性に優れたレンズです。
    カラーレンズほどではありませんがシルバー系以外にも、グリーン系、ブルー系、イエロー系などのバリエーションがあります。
    一般に、表面はミラーで裏面がハードマルチコートに加工します。
私は実用性重視で、環境に応じてレンズを交換できるサングラスのフレームと交換用レンズを選択しましたが、ファッション性を重視して選択するのも、また面白いと思います。

2017-08-12

Bitcoinが「Bitcoin Cash」と分裂するもほとんどのユーザーに影響無し

Bitcoin (ビットコイン) と呼ばれる仮想通貨が2017年8月1日に分裂し新たな仮想通貨「Bitcoin Cash (BCH) 」 (ビットコインキャッシュ) が誕生しました。

Bitcoin (イメージ)

仮想通貨は決済手段の一種であり、マイニング (採掘) と呼ばれる計算リソースの投入によって発行されます。
現実の通貨のように発行体として中央銀行を持ちません。
マイニングに参加した人 (マイナー:採掘者) が仮想通貨を獲得しますが、発行される通貨量は時間的に制御され難易度が調整されます (難易度調整アルゴリズム) 。
仮想通貨のもう一つの特徴は、取引を記録するブロックチェーンと呼ばれる仕組みがあることです。
これらの仕組みにより、不正に仮想通貨を取得することができないようになっています。
Bitcoinは仮想通貨の実装の1つで、仮想通貨の中では最大の流通量をほこります。

今回の騒動の発端は、ブロックチェーンの容量が1MBと決められていたBitcoinに限界が来たことにあります。
当初は1MBで充分だったものの、Bitcoin決済の拡大などで利用者数が急激に増え、1MBでは足りない状況が発生するようになりました。
これが10分程度かかっていたBitcoin決済の待ち時間をより長いものにし、利便性が低下していました。

Bitcoin運用に発言権を持つマイナーたちの間では2つの解決策が議論されてしました。

  1. Segwit (Segrageted witness) と呼ばれる仕組みの導入 (ソフトフォーク)
    ブロックサイズは維持され、一部のビット列の扱いが変わるだけだったためソフトフォークと呼ばれます。
  2. ブロックサイズを8MBにまで増やす方法 (ハードフォーク)
    ブロックサイズが異なるため、これまでのBitcoinとの互換性がなくなりBitcoinを源流として生成された新たな仮想通貨となるため、ハードフォークと呼ばれます。

マイナーたちの間で2つの解決策のうち、どちらを採用するかの議論が収束せず、結局、大多数のマイナーにより2017年7月23日にSegwit以外のブロックを拒否する処置 (BIP91) が実施されました。
今後は8月中旬までかけてSegwitをBitcoin決済ネットワークに浸透させる移行期間が続き、8月下旬にSegwitを有効化したブロックのみの取引に移行する予定です。
一方、一部のマイナーは2017年8月1日よりブロックサイズを8MBにまで増やした改良版Bitcoinを採用、BitcoinはSegwitを導入したBitcoin (BTC) と、ブロックサイズを8MBにまで増やした「Bitcoin Cash (BCH) 」 (ビットコインキャッシュ) に分裂しました。

このような事態は前例があり、別の仮想通貨であるEthereum (ETH) もセキュリティを突いた盗難にあった際にこれを無効化するため、ハードフォークを実行し、このハードフォークを拒否したマイナーが少なからずいたため、Ethereum (ETH) とEthereum Classic (ETC) の2種類に分裂しました。
Ethereum (ETH) とEthereum Classic (ETC) は現在も別々の仮想通貨として存続しています。

Bitcoinの場合、大多数のマイナーがSegwit導入案を支持した結果、以下のようになりました。

  • Bitcoin (BTC) ………… 98.5%
  • Bitcoin Cash (BCH) …   1.5%

つまり、Segwitを導入したBitcoin (BTC) が主流となったため、ほとんどのユーザーに影響はありません。

しかし、Bitcoinユーザーは今後も油断できません。
2017年11月頃にブロックチェーンを2MBに拡大するハードフォークの計画が控えているからです。
これも、今回と同様に賛成派と反対派が対立して議論が収束しない場合、また新たな仮想通貨が誕生することになるでしょう。

仮想通貨は中央銀行が介在しない多数決と似た仕組みで動きますが、この仕組みが仮想通貨の分裂という問題を生じているのは興味深いことです。
仮想通貨はこのような問題を内在していますが、将来、解決策を実装した仮想通貨が登場するかもしれません。

仮想通貨 (ブロックチェーン技術) はまだまだ発展途上ですが、実に面白いのでこれからもトレースしていきます。

2017-08-05

「日本初の民間ロケット打ち上げ」の記事から見る、ニュースを読むときの注意点

2017年7月30日に、日本初の民間ロケットが北海道大樹町で打ち上げられました。
※この画像は「MOMO」ロケットでは無く、Pixabayから引用したイメージです
残念ながら、不具合発生との判断からエンジンを緊急停止させ、目標としていた宇宙空間 (高度100km以上) には到達しませんでしたが、各新聞社の記事が興味深い内容になっていました。
「日本初の民間ロケット打ち上げ」記事から見る、ニュースを読むときの注意点としてまとめます。

まずは、大手新聞社のタイトルと記事の抜粋です。


【各新聞社のタイトルと記事の抜粋】


[宇宙ロケット、打ち上げ失敗 エンジン緊急停止]
(日本経済新聞:2017-07-30)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ30H3A_Q7A730C1000000/
────記事からの引用ここから────
 実業家の堀江貴文氏らが創業したベンチャー (VB) のインターステラテクノロジズ (北海道大樹町) は30日午後4時32分、観測ロケット「MOMO (モモ) 」初号機を打ち上げた。
飛行中に機体の情報が受信できずエンジンを緊急停止し海に落下。
民間単独開発ロケットの宇宙への挑戦は失敗に終わったが、堀江氏は「後継機を3カ月後に開発する」と次の狙いを語った。
 「機体が破損するなどの不具合があった」。
記者会見で、インターステラの稲川貴大社長は宇宙空間に届かなかった原因を語った。
打ち上げ直後は正常だったが、66秒後に飛行速度がマッハを超えたときに機体が破損したとみられる。
配線などが破れて機体からの通信が途絶えた。
直後にエンジンを緊急停止させた。
到達高度は約10キロで海岸から約6.5キロメートルに着水したという。
・・・・中略・・・・
 今回、エンジン開発と姿勢制御は成功した。
機体破損の原因究明と対策が、インターステラが2020年の打ち上げを目指す次世代ロケット開発への第一歩となる。

────記事からの引用ここまで────

[初の民間ロケット打ち上げ失敗 発射直後に不具合 堀江貴文氏ら創業の宇宙ベンチャー]
(産経新聞:2017-07-30)
http://www.sankei.com/life/news/170730/lif1707300029-n1.html
────記事からの引用ここから────
 宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズ (北海道大樹町) が自社開発した小型ロケット「MOMO (モモ) 」初号機が30日午後4時半ごろ、同町の発射場から打ち上げられたが、発射直後に不具合が生じた。
打ち上げは失敗したとみられる。
 同社関係者の公式ツイッターによると、発射直後に通信が途絶し、エンジンを緊急停止させた。
機体は海上に墜落し、打ち上げは失敗したもようだ。
 MOMOは国内の民間企業が単独開発した初の宇宙ロケットで、政府が推進する民間宇宙ビジネスの旗手として期待されていた。
 計画では、打ち上げ約4分後に高度100キロ以上の宇宙空間に到達。
その後は地球の重力で落下し、同約7分後に大樹町から東南東約50キロの太平洋に着水して、機体は船で回収される予定だった。
 MOMOはエタノールと液体酸素を燃料に使う1段式のロケットで、全長10メートル、重量約1トン。
重さ20キロの荷物を搭載でき、今回は観測装置などを積んでいた。

────記事からの引用ここまで────

[民間ロケット、宇宙届かず…エンジンを緊急停止]
(読売新聞:2017-07-30)
http://www.yomiuri.co.jp/science/20170730-OYT1T50042.html
────記事からの引用ここから────
 日本初の民間単独による宇宙空間到達をめざし、新興企業インターステラテクノロジズ (北海道大樹町) が開発・製造した小型ロケット「MOMO (モモ) 」 (全長約10メートル、重さ約1トン) が、当初予定された29日から打ち上げ時刻を再三延期した末、30日午後、同町の実験場から打ち上げられた。
 しかし約1分後に飛行データの送信が途絶えたため、同社はエンジンを緊急停止させ、MOMOは同町沖合約6.5キロ・メートルの太平洋に落下。
初挑戦で宇宙には届かなかった。
 同社は2020年頃に重さ100キロ・グラム以下の超小型人工衛星の打ち上げを受注することをめざし、低価格ロケットの開発を進めている。
今回の打ち上げは宇宙空間に届くロケットの技術を得る目的で、2分間エンジンを燃焼させて打ち上げ4分後に最高高度に到達させ、大気圏と宇宙空間の境界とされる高度100キロ・メートルを超える計画だった。

────記事からの引用ここまで────

[ホリエモンロケット、宇宙空間達せず エンジン緊急停止]
(朝日新聞:2017-07-30)
http://www.asahi.com/articles/ASK7X5H53K7XUBQU013.html
────記事からの引用ここから────
 元ライブドア社長で実業家の堀江貴文さんが出資する宇宙ベンチャー、インターステラテクノロジズ (北海道大樹 (たいき) 町) は30日、同町から小型ロケット「MOMO」を打ち上げた。
直後に機体からの通信が途絶えたため、エンジンを緊急停止。
宇宙空間には達しなかった。
 MOMOは全長約10メートル、重さ約1150キロ。
無重力環境の測定装置などを積み、民間企業が独自に開発したロケットとして初の宇宙空間 (高度100キロ) への到達をめざしていた。
 打ち上げは当初、29日に予定されていたが、濃霧のため直前に中止になり、30日に延期されていた。
大樹町内の発射場から約4キロ離れた見学会場には、朝から多くの家族連れらが訪れ、打ち上げを見守った。
 同社によると、MOMOは午後4時31分に打ち上げられた。
4分で高度100キロに到達する計画だったが、66秒後に飛行データを正常に取得できなくなり、エンジンを緊急停止した。
当時の機体の高度は約20キロで、発射場から約6.5キロ離れた太平洋に落下したとみられる。
機体は回収できなかったという。

────記事からの引用ここまで────

[ホリエモンロケット 打ち上げ失敗か 宇宙への夢かなわず]
(毎日新聞:2017-07-30)
https://mainichi.jp/articles/20170730/k00/00e/040/187000c
────記事からの引用ここから────
 宇宙ベンチャー「インターステラテクノロジズ」 (北海道大樹町) は30日午後4時半ごろ、自社開発した初の観測ロケットを同町から打ち上げたが、目標の高度まで到達できず、打ち上げは失敗したとみられる。
民間単独のロケットとして、国内初の宇宙空間到達を目指していたが、かなわなかった。
 同社の生みの親で、元ライブドア社長の堀江貴文さん (44) らが打ち上げを見守った。
堀江さんと、インターステラテクノロジズ社長の稲川貴大さん (30) は30日に現地で記者会見する。
 ロケットは直径約50センチ、全長約10メートル、重さ約1トン。燃料に安価なエタノールを使用し、エンジンを自社開発するなどしてコストダウンを追求。
現行の観測ロケット (1機当たり) の約10分の1に当たる5000万円以下の打ち上げを目指していた。
 今回は人工衛星は積んでいないが、将来的には超小型衛星を軌道に投入する大型ロケットの商用化を目指していた。
同社は堀江さんが2013年に創業した。

────記事からの引用ここまで────


【各新聞社の大まかな記事の傾向】

  • 日本経済新聞…創立者 (シードマネー出資者) の堀江貴文氏の発言だけで無く、稲川貴大社長のコメント、ニュースの全容とこれまでの経緯を俯瞰し把握できる内容。
    最後に今後の期待で締められている。
     
  • 産経新聞…堀江貴文氏の名前はあるが、記者会見に臨んだ稲川貴大社長の名前は無い。
    今回の打ち上げに関する情報を中心に記載。
     
  • 読売新聞…堀江貴文氏や稲川貴大社長の名前は出ていない。
    短い記事で、今回の打ち上げに関する情報とロケット開発計画について簡単に触れている。
     
  • 朝日新聞…公式なロケット名では無く「ホリエモンロケット」なる名前をタイトルに採用。
    堀江貴文氏の名前はあるが、記者会見に臨んだ稲川貴大社長の名前は無い。
    今回の打ち上げに関する情報を中心に記載。
     
  • 毎日新聞…公式なロケット名では無く「ホリエモンロケット」なる名前をタイトルに採用。
    また、インパクトのある「宇宙への夢かなわず」をタイトルに採用し、会社やロケット開発計画がご破算になったかのような記事の内容となっている。
    今回の打ち上げに関する情報ではなく、これまでの経緯を中心に記載。


【ニュースを読むときの注意点】

  1. センセーショナルな記事ほど読まれる
    失礼かもしれませんが、インターステラテクノロジズの稲川貴大社長より、創立者 (シードマネー出資者) の堀江貴文氏の方が知名度があります。
    ので、両名を記載していない読売新聞を除いて、各紙に堀江貴文氏の名前が出てきます。
    また、毎日新聞はインパクトのある「宇宙への夢かなわず」とタイトルに記載しました。
    これは、センセーショナルな記事ほど読まれるためです。
     
  2. 利益のためのニュースは正確さで劣る
    朝日新聞と毎日新聞は、公式なロケット名「MOMO」では無く「ホリエモンロケット」なる名前をタイトルに採用しました。
    「ホリエモンロケット」という名前のロケットは存在しません。
    しかし、利益を出すためにはニュースが読まれなければならず、正確さが劣る造語をつくってでも読者の目を引こうとします。
    新聞社をはじめとするマスメディアにとって、読まれたり見られたりしないニュースに価値は無いのです。
     
  3. ニュースは正確性よりも速報性を優先する
    ニュースには賞味期限があるので、正確性よりも速報性を優先します。
    今回は正確な情報が少ないので、「~によると」、「~とみられる」、「~もようだ」などのインタビューや公式Twitterからの引用、そして推測情報が多く、それ以外は今回のロケット打ち上げ計画の情報、またはロケット開発計画について触れた記事が多いです。
    情報を集め、正確にロケットの飛翔データを解析したら、数値などは変わっていきます。
    しかし、いちいち訂正するのも面倒なので、このような推測表現が含まれた記事になります。
    読売新聞のようにわざと最小限の情報だけに絞って記事にするケースもあります。
    これは、正確性よりも速報性を優先し、出来る限り間違いとならないように各紙が工夫した結果です。

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ちなみに、リアルニュースよりフェイクニュースのほうが人気があり、アメリカでは大統領選挙 (ヒラリー陣営への攻撃、トランプ陣営への攻撃など) の頃からたびたび問題視されるようになりました。
しかし、CNNがアメリカ合衆国のトランプ大統領や共和党、そして共和党支持者から批判されているように、リアルニュースが正しいとも限りません。

新聞は、同じニュースを複数の新聞社の記事で読み比べると、偏ることなくそのニュースに対する自身の考えをまとめられると思います。
今回は科学ニュースでしたが、政治ニュースでは特に顕著に各紙の傾向が現れます。
BlogやSNSが台頭した今も、新聞はニュースソースとして特別な位置にあります。
しかし、新聞社は営利企業であり、利益を出すための記事と構成になっていることを忘れてはいけません。